2026年度の税制改正で、中小企業向けの賃上げ促進税制が変わりました。
給与の増加に応じた基本の控除率は維持されます。一方、教育訓練費による上乗せは廃止されました。
適用時期は決算日ではなく、事業年度の開始日で判断します。
今回は、改正内容と計算例、経理担当者が確認すべきポイントを解説します。
賃上げ促進税制は、給与を増やした企業の法人税を軽減する制度です。
青色申告をする中小企業者等が対象です。
今回の改正では、研修費などを増やした場合の「10%上乗せ」がなくなりました。
一方、子育て支援や女性活躍に関する認定による5%上乗せは残ります。
そのため、中小企業向けの最大控除率は45%から35%になりました。
これは成立済みの税制改正です。今後の改正案ではありません。国税庁
新ルールは、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
例えば、3月決算の会社なら2027年3月期からです。
一方、12月決算の会社は2026年12月期が旧ルールです。
2027年12月期から新ルールになります。
中小企業向け制度の対象期間は、2027年3月31日までに開始する事業年度です。
期限は「決算日」ではなく「開始日」で確認しましょう。
基本の控除率は変わりません。
給与等支給額の増加率によって、次のように決まります。
| 前年度からの給与増加率 | 税額控除率 |
|---|---|
| 1.5%以上 | 15% |
| 2.5%以上 | 30% |
| 2.5%以上+一定の認定要件 | 最大35% |
例えば、前期の対象給与が1億円だった会社を考えます。
当期は1億300万円に増えたとします。
増加率は3%、増加額は300万円です。
ほかの調整がなければ、税額控除の計算は次のようになります。
300万円×30%=90万円
ただし、実際に控除できるのは法人税額の20%までです。
仮に法人税額が200万円なら、当期の控除上限は40万円です。国税庁
中小企業向けには、未控除額を5年間繰り越す仕組みがあります。
先ほどの例なら、差額の50万円が繰越対象になり得ます。
ただし、自動的に翌期の税金から引かれるわけではありません。
まず、発生年度の申告で所定の明細書を添付します。
さらに、繰り越す各年度にも明細書が必要です。
実際に繰越控除を使う年度には、給与総額が前年度より増えている必要もあります。
そのため、赤字でも申告資料を整えておくことが大切です。中小企業庁
まず、自社の事業年度開始日を確認しましょう。
次に、前期と当期の給与台帳を比べます。
対象にはパートやアルバイトの給与も含まれます。
一方、役員給与や一定の親族への給与は対象外です。
また、資本金1億円以下でも対象外となる場合があります。
例えば、大企業から一定割合以上の出資を受ける会社です。
前3事業年度の平均所得が15億円を超える法人も対象外です。
さらに、助成金などによる調整も必要です。
単純に「人件費の合計」を比べるだけでは不十分です。
最後に、賃上げ額と法人税の見込みを試算します。
税額控除だけでなく、資金繰りも併せて検討しましょう。
2026年度改正では、教育訓練費の上乗せが廃止されました。
一方、基本控除率と5年間の繰越制度は維持されています。
重要なのは、開始日・給与増加率・申告書類の3点です。
賃上げ促進税制は、給与計画と税務申告の両方に関わります。
決算直前ではなく、今から確認を進めましょう。