こんにちは。税理士の清水です。
2025年から所得税に新しい仕組みが導入されるのをご存じでしょうか。
それが「ミニマムタックス(高額所得者に対する最低税負担制度)」です。
株式の譲渡益(キャピタルゲイン)や配当所得が大きい方を中心に、税率が実質的に引き上げられる可能性があります。
今回は、この制度がどのように変わるのか、税率はどうなるのか、わかりやすく解説します。
目次
上場株式の譲渡益は、他の所得と分離して課税される「申告分離課税」の対象です。
現在の税率は以下のとおりです。
| 区分 | 税率 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 0.315%(所得税の2.1%) |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
つまり、これまで株式譲渡益には**一律20.315%**が課されていました。
2025年(令和7年)1月1日以降に生じる所得から、「ミニマムタックス(最低税負担制度)」が導入されます。
これは、所得の種類を問わず一定以上の所得がある人に対して、最低限の税負担を求める仕組みです。
もし通常の所得税額がこの金額を下回る場合、その差額分を追加で納税する必要があります。
つまり「いくら税制上有利な所得構成でも、最低限この水準の税負担はしてください」という考え方です。
株式の売却益や配当など、金融所得に対する税負担が低すぎるという指摘が背景にあります。
特に超富裕層では、給与所得に比べて税負担率が低いケースが多く、「税の公平性」の観点から見直しが行われました。
一般的な投資家や中小企業オーナーには大きな影響はありません。
ただし、所得が数億円規模に達する方は注意が必要です。
つまり、これまでの20.315%から約7%程度の増税となるケースもあります。
NISA口座で得た非課税の配当や譲渡益は、これまで通りミニマムタックスの対象外です。
また、一定のエンジェル税制の適用を受けた投資所得なども除外されます。
2025年から始まるミニマムタックスは、一部の高額所得者に限定される制度ではありますが、
株式譲渡や事業承継を控えている経営者の方には大きな影響を与えかねません。
制度の狙いは「超高額所得者への公平な課税」ですが、実務では譲渡時期・所得構成・控除対象の判断などが複雑です。
事業承継やM&Aをお考えの方は、ぜひ税理士にご相談ください。
適切なタイミングとスキームを選ぶことで、税負担を最小限に抑えることが可能です。
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