出張旅費を損金処理するためには、会社の旅費規程を整備し、それに基づいて正確に処理する必要があります。税法では、出張旅費規程により従業員や役員に対して支払われる出張旅費を旅費交通費(経費)として処理することが認められています。うまく活用すれば、個人の手取りを増やしたり、消費税の節税が図れます。以下は、そのための一般的なポイントです。
会社が出張旅費を損金処理するためには、社内で正式に出張旅費規程を策定する必要があります。この規程には、以下の要素を明記しておくと良いでしょう。
出張旅費規定を策定しておくことで、支払われる出張費用が業務遂行上のものであることが明確化され、税務上も認められやすくなります。
支給額は交通費や宿泊費は実費または、社長、取締役、従業員で金額に差をつけることも一般的です。日当についても同様に差をつけることがあります。
出張の際には、出張申請書や出張報告書を作成し、出張の目的や期間、行き先などを記録しておく必要があります。これにより、出張費が業務に関連するものであることが証明できます。
交通費や宿泊費などの経費については、必ず領収書や証憑を保存しておきましょう。これにより、税務調査時に実際に費用が発生したことを証明できます。
旅費規程は、主に以下の目的で作成されます。
旅費規程を作成することで、従業員や役員に対する出張費用の支給基準が明確になります。これにより、どのような場合にどのような費用が支給されるかを公平に示すことができ、従業員間で不平等が生じないようにします。
税務上、旅費や日当を損金処理するためには、合理的で明確な基準が必要です。旅費規程があれば、その基準に基づいて支給された費用は損金として認められやすくなります。税務調査においても、会社が恣意的に費用を支給していないことが証明でき、適切な経理処理ができるようになります。
規程を作成し、明確な基準を設けることで、出張費の過剰請求や私的利用などの不正を防ぐことができます。具体的な交通費や宿泊費、日当の範囲が定められていることで、従業員が自己判断で不正な費用請求を行うリスクを減少させる効果があります。
旅費規程を通じて出張にかかる費用の上限や範囲が明確化され、会社全体として出張費用を適切に管理することが可能になります。これにより、予算の計画的な管理や、経費削減の取り組みも行いやすくなります。
明確な規程があることで、従業員が安心して出張の申請や精算を行えるようになります。また、何が経費として認められるかを事前に理解できるため、出張時の不安や不明点を減少させる効果があります。
会社の内部統制を強化するために、旅費規程は重要な役割を果たします。規程に基づいて承認や精算が行われることで、出張費用の適正な支出を確保し、不正支出や不透明な処理を防止する仕組みを整備できます。
このように、旅費規程は企業の経費管理、法的・税務的リスク回避、従業員との信頼関係を築くための重要なツールです。
これらの要件を満たすことで、出張旅費は適切に損金処理され、税務上も問題なく処理できるようになります。
出張旅費は源泉税も社会保険料もかかりませんので、規程に基づく支給により、結果として個人の手取りを増やす効果が期待できます。
会社は出張旅費を経費で処理することができれば、消費税を課税取引として処理できますので、消費税の節税につながります。
出張旅費規程をうまく活用して会社も個人も双方にメリットがあるように期待しています。
(関連URL)タックスアンサー No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm