棚卸の目的は2つです。1つ目は在庫管理のため、2つ目は会社の利益を計算するためです。
棚卸とは商品を仕入れたり、製品を製作したにも関わらず、期末に売れ残ったものを数える作業のことをいいます。
法人や個人事業主が確定申告をする時にも関わってくることですので、その重要さをよく理解してもらいたいです。
それでは、商品を仕入販売している会社を前提に、順を追って棚卸しについて詳しくみていきましょう。
商品を扱う会社は商品売る前に、在庫が今いくらあるかを把握しておく必要があります。
把握する仕方は管理ソフトやエクセル、手書きの台帳などがあるでしょう。頭の中にあるはダメです。
これらは帳簿で管理しているといえます。仕入れや売上げた都度、出し入れを記帳していきます。
一定期間活動をすると、帳簿の残と実際の残に差が出るようになります。
処理間違いや、もしかしたら紛失したりとか・・・
このようなことを早期に発見するために「棚卸」をします。
会社は1年間の売上から売上原価を引いて粗利益を計算します。
ここで注意が仕入≠売上原価です。
売上原価の計算
科目 | 金額 | 算式 |
---|---|---|
期首棚卸高 | 1,000 | (a) |
当期仕入高 | 20,000 | (b) |
期末棚卸高※1 | 800 | (c) |
売上原価 | 20,200 | (a)+(b)-(c) |
損益計算書
科目 | 金額 | 算式 |
---|---|---|
売上高 | 30,000 | ① |
売上原価 | 20,200 | ② |
粗利益 | 9,800 | ①-② |
期首と期末に棚卸とあります。
期首とは前期の期末のことです。つまり、毎年棚卸はしなければなりません。
売上からひく売上原価を計算するために「棚卸」をするということです。
棚卸をしたら棚卸表を作ります。
・在庫管理目的からの理由 記録しないとあるかないかが後で分からないから
・利益計算目的からの理由 きちんと棚卸をした証拠とするため
手順は簡単で以下の通りです。
1、期末時点でどの商品が何個残っているかを数え、「品目」と「数量」をリストアップする。
2、リストアップした品目に「単価」を付けて金額を計算する。
3、品目毎に出した金額の全てを合計する。
ここは大事なところです。
売れ残ったものは全て拾い上げるということです。
脱線しますが、棚卸は事務用品などの経費項目も実施します。
つまり、まだ使っていないものも棚卸の対象になります。
脱線ついでに棚卸の会計処理も話しておきます。
上の表(※1)を使いますが、仕訳はこうです
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
棚卸資産 | 800 | 期末棚卸高 | 800 |
期末棚卸高は仕入高と読み替えてもいいです。
棚卸をするということは、仕入から減らして「資産を計上する」=「利益を計上する」ということです。
計算の仕組み上、棚卸資産が増えると利益が増える、逆に減ると利益が減るということになります。
ちなみに翌年の期首の仕訳でこうなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
期首棚卸高 | 800 | 棚卸資産 | 800 |
期首で仕入に戻す処理になります。
棚卸資産の具体例
棚卸資産の種類 | 解説 |
---|---|
商品 | 仕入れたがまだ売れてないもの |
製品 | 工場で製作したがまだ売れてないもの |
原材料 | 仕入れたが未使用のもの |
仕掛品 | 製作途中のもの |
貯蔵品 | 購入したが未使用のもの |
棚卸資産は商品だけでなく、会社や事業の形態によって、製品や仕掛品なども含まれます。
棚卸は在庫管理と利益の計算のために行います。
棚卸表は税務調査でも見られます。ちゃんとした棚卸表があるということは、在庫管理と利益計算が正確であるということになります。会社の心象はアップします
棚卸のもれは利益の減に直結します。意図的に棚卸を除外することは脱税になりますので、くれぐれも注意していただきたいと思います。