農地を相続したら絶対検討すべき農地の納税猶予についてみていきます。
通常、農地は固定資産税の倍率方式などで評価額を計算します。
一方、農業相続する農地は特別な計算方法により評価し、通常の評価との差額が納税猶予されます。
今回は、納税猶予についてイメージをつけるため、簡単に解説します。
目次
大まかに説明します。
納税猶予される相続税額=通常の評価額による相続税額−農業投資価格での評価額による相続税額
農業投資価格は、農地の相続で納税猶予を受けるために使用される農地の評価額で、国税庁により公表されています。
令和2年分の農業投資価格は以下の通りです。都道府県別に決められています。
金額は10アール(1,000㎡)当たりの金額です。
都道府県 | 田 | 畑 |
---|---|---|
兵庫県 | 770千円 | 500千円 |
奈良県 | 720千円 | 460千円 |
大阪府 | 820千円 | 520千円 |
東京都 | 900千円 | 510千円 |
北海道(中央) | 300千円 | 128千円 |
沖縄県 | 220千円 | 230千円 |
農地の区分により次のように計算します。
区分 | 計算方法 |
---|---|
純農地 | 倍率方式 |
中間農地 | 倍率方式 |
市街地周辺農地 | 市街地農地評価×0.8 |
市街地農地 | 「宅地評価−造成費等」又は倍率方式 |
次のいずれかに該当する人
1、死亡の日まで農業を営んでいた人
2、農地等の生前一括贈与をした人で、死亡の日まで受贈者が贈与税の納税猶予又は納期限の延長の特例を受けていた場合に限ります。
3、1、2の人で障害や疾病などで農業が困難な人が賃借権等の設定による貸付けをし税務署長に届出をした人
4、死亡の日まで特定貸付等(農地法等の特例による貸付け)を行っていた人
1、相続税の申告期限までの農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる人
2、その他詳細は>>>こちら
1、被相続人が農業の用に供していた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割されたもの
2、その他詳細は>>>こちら
1、相続税の申告書を期限内に提出すること
2、農地等納税猶予税額及び利子税に見合いの担保提供が必要
3、相続税の納税猶予に関する適格者証明書や担保提供関係書類を添付する
相続税の申告期限から3年毎に、引き続いて特例を受ける旨及び特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した届出書(継続届出書)を提出することが必要です。
1、特例の適用を受けた農業相続人が死亡した場合
2、相続人が相続税納税猶予を受ける農地等の全てについて、贈与税納税猶予の適用を受ける贈与をした場合
3、市街化区域(生産緑地地区を除く)は、相続人が20年間農業を継続した場合
次のようなケースに該当すると納税猶予がなくなり、納税猶予されていた税額の一部又は全部を納付しなければなりません。
1、特例農地を譲渡等した場合
譲渡等には譲渡、贈与、転用のほか地上権、賃借権等の設定もしくはこれらの権利の消滅又は耕作の放棄も含まれます。
2、特例農地に係る農業経営を廃止した場合
3、継続届出書の提出がない場合
納税猶予がなくなって相続税を納めるときは、利子税がかかります。
利子税は、相続税の申告期限から納税猶予の期限までの期間についてかかります。
農業相続の簡単な概略をまとめました。
農地を相続する人や予定がありそうな人は参考にしてみてください。
農地の特例を一旦利用すると譲渡等があると猶予分を利子税をつけて納税しなければならない厳しい制度です。
農業相続はこのように考慮すべきことがたくさんありますので専門家に確認することをお勧めします。
参考URL:国税庁タックスアンサーNo.4147 農業相続人が農地を相続した場合の納税猶予の特例