✔ 法人化した方がいいですか?
個人の税率は累進税率です。
法人の税率は一定です。
このことから、利益が大きくなってくると個人事業よりも法人化した方が税金が抑えられます。
この記事では節税の観点から法人化するメリットを上げます。
さらに、法人化に伴うデメリットも合わせて解説します。
最後は法人化するタイミングについても触れています。
まずは、法人化の節税メリットから解説していきます。
個人事業は事業所得により税金計算されます。
事業所得=売上-必要経費(人件費・経費)
会社は個人の事業所得に相当する額からさらに役員報酬が引かれた額に税金がかかります。
税引前利益=売上-(人件費・経費・役員報酬)
役員報酬は、個人事業では費用にできませんが、法人では費用にできます。
役員報酬も所得税がかかりますので、結果同じではないかと思われますが、
役員報酬にも給与所得控除があり、所得税がその分抑えられます。
給与所得控除は役員報酬850万円以上では195万円が上限です。(令和2年以降)
参考URL 給与所得控除 https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm
生命保険料は個人の場合、生命保険料控除の最高12万しか所得控除はありません。
しかし、法人の場合、保険の種類によっては全額費用になります。
法人の処理として、ある保険契約で支払った保険料のうち、資産と費用に振り分けられるものもあり、保険の効果も得ながら、節税にもなる商品もあります。
個人より法人の方が生命保険を利用したお金の使い方ができます。
参考URL 生命保険料控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
個人事業では家族の人件費を費用にするためには、「青色専従者」として税務署に届け出た場合に費用として認められます。
青色専従者は、青色申告者の事業に専ら従事していることが要件です。
専ら従事しているとは、年を通じていえば6ヵ月超、一定期間の1/2を超える期間と決められています。
法人の場合、家族であっても専従者という考え方はありません。
他の従業員と一緒に働いた時間だけ時給で給料を出すこともできますし、
役員として役員報酬を出すこともできます。
ただし、過度に高額な役員報酬は費用と認められませんので注意してください。
個人事業の場合は自分の退職金は費用にできません。
一方、法人は適正な役員退職金を全額費用にできます。
役員退職金の計算は、
役員報酬月額×在任期間×功績倍率で計算します。
✔ では法人化のデメリットは何ですか?
メリットを上げてきましたが、逆にデメリットについて解説します。
社会保険料の負担が増えるということで、あえてデメリットといいました。
個人事業の場合、従業員5人未満の場合、社会保険に加入義務はありませんが、
法人は基本的に加入義務があります。
社会保険は雇用主と従業員で保険料を折半することになっています。
社会保険料は給料の約30%ほどになっています。
給料が増えると自動的に保険料が上がります。
個人の場合、本人負担で国民健康保険料と国民年金でした。
事業主が負担することはありません。
法人になれば法人負担が給料の約15%となります。
参考URL 健康保険・厚生年金の保険料額表 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r2/ippan_3/r20928hyogo.pdf
姫路市の場合、個人住民税の場合は、収入が著しく低い世帯を除き、均等割は5,800円(年額)です。
一方、法人の場合は一番規模の小さい会社でも82,000円です。
均等割りは赤字でもかかるので、最低限毎年この82,000円を負担する必要があります。
なお、姫路市の会社の場合、兵庫県の均等割りもかかります。
姫路市最低額60,000円、兵庫県最低額22,000円
参考URL 姫路市 https://www.city.himeji.lg.jp/bousai/0000000764.html#index-2-14 兵庫県 http://web.pref.hyogo.lg.jp/kk22/pa04_000000008.html
法人を設立するには設立費用がかかります。
株式会社を設立する場合、
定款作成4万円(印紙代)、公証人役場で定款認証料5万円、登録免許税15万円の合計24万はかかります。
電子定款を使えば印紙4万円は不要ですが、司法書士の手数料は別途かかります。
合同会社を設立する場合は、最低登録免許税6万円で設立できます。
これも、司法書士に依頼すると別途費用はかかります。
個人と比べて法人の申告書は法人の申告は複雑です。
通常青色申告を選択しますが、
個人の場合は、簡易な青色申告がありました。
主に、損益だけ帳簿を付けておれば認められる制度です。
しかし、法人の場合、簡易な青色申告はありません。
損益と資産・負債をきちんと帳簿に付ける、複式簿記で帳簿を付ける必要があります。
申告書に添付する書類も、決算書の他に科目の内訳書や事業概況書といった
個人ではなかった書類も必要になってきます。
そんなことで、税理士の出番になるわけですが、税理士に初めて依頼する場合、
顧問報酬が負担増になってきます。
法人化すると個人事業に比べて節税メリットは大きいです。
個人の税金は以下のように計算します。
法人の税金は以下のように計算します。
両方を見比べていくと、従業員の数や役員報酬の額にもよるでしょうが、
利益が800万円を超えるようになってきた時が法人化を考える時期だと思います。
もう少し詳しく法人化のメリット・デメリットとタイミングを確認したい時は専門家のアドバイスを受けることをおススメします。