金銭や物品などの贈与には変わりないですが、事業に直接関係のあるものは交際費、関係のないものは寄付金として処理します。
交際費と寄付金には、科目の性格の違いや損金算入限度額、損金算入時期の違いがあります。
そのあたりを詳しくみていきたいと思います。
まずは科目の性質からです。
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
寄附金とは、金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいます。
一般的に寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれます。
社会事業団体、政治団体に対する拠出金、神社の祭礼等への寄贈金も寄付金になります。
低額で資産を譲渡した場合に、時価と譲渡価額に差額が寄付金となる場合があります。
(引用):国税庁№5262
少し深堀りして、それぞれの損金算入限度についてみていきます。
交際費と寄付金では損金算入限度額の計算が異なります。それぞれ解説します。
平成26年4月1日以後に開始する事業年度における非課税限度額
区分 | 非課税の範囲 |
---|---|
資本金1億円超の会社 | (原則)全額損金不算入 (例外)飲食その他に類する行為のために要する費用(社内のみは除外)の50% |
資本金1億円以下の会社 | ・年間800万円まで ・飲食その他に類する行為のために要する費用(社内のみは除外)の50% 上記のうち選択 |
交際費の解説は「交際費を使いました、経費になりますか?」でも解説しています。
寄付金の損金算入限度額は以下のようになっています。支出先によって、損金となる範囲が異なっています。
番号 | 支出先 | 損金算入限度額 |
---|---|---|
① | 国、地方公共団体、公益法人等への寄付金 | 支出した金額 |
② | 特定公益増進法人への寄付金 | ・支出した金額 ・(期末資本金等額×12/12×3.75/1,000+所得金額×6.25/100)×1/2 のいずれか少ない金額 |
③ | 上記以外の寄付金 | ・支出した金額 ・(期末資本金等額×12/12×2.5/1,000+所得金額×2.5/100)×1/4 のいずれか少ない金額 |
寄付金の損金算入限度額は①+②+③になります。
公共性が高いほど損金算入が多く認められています。
次は損金算入時期です。
交際費は支払い義務が確定した日の処理ができます。つまり未払費用計上ができます。
接待を行った場合、接待の日が計上日となります。
寄付金は現実に支払った時の処理となります。(法令78条)
なお、手形の振り出しは現実の支払いに該当しません。(法基通9-4-2の4)
逆に、仮払処理した寄付金は費用にはしていないが、支出しているので損金算入限度額計算に含めます(法基通9-4-2の3)、なお、費用処理した期には含めません。
交際費は事業に関係あり、寄付金は事業に関係なしの支出です。
交際費と寄付金は損金算入限度額計算が違うので、明確に区分する必要があります。
損金算入時期は寄付金は実際に支出した日の属する期になります。
交際費と寄付金は似て非なるものです、内容をよく理解して間違いのないようにしましょう。