消費税において住宅用家賃は非課税になっていますが、社宅や従業員寮も住宅に該当しますので、家賃は非課税です。
他の者に転貸する場合も住宅用であれば、住宅家賃となり非課税です。
社宅等に係る費用は取引内容によって課税になるものと非課税になるもの、また消費税の対象外になるものがあります。
今回は、費用で課税取引になるものについて、消費税の計算を個別対応方式で行っている場合、仕入税額控除できるかについて、項目ごとにみていきたいと思います。
目次
社宅や従業員寮を取得した場合、課税仕入れとなります。貸付の形態により取り扱いが分かれます。
1、有償で従業員に貸し付けているものは、非課税売上に対応するものとして、仕入税額控除できません。
2、無償で貸し付けている場合は、原則として、課税取引と非課税取引に共通して要する費用に該当し、仕入税額控除計算をします。
従業員に転貸するために借り受ける家賃は住宅家賃として非課税です。
そもそも非課税ですので、仕入税額控除は関係ありません。
社宅や従業員寮の維持費には、修繕費や備品購入費用等がありますが、課税仕入れとなります。
この場合も、上記取得の場合と同じ取扱いです。
有償での賃貸の場合は非課税売上との対応で仕入税額控除はできません。
無償での賃貸の場合は共通費として仕入税額控除できます。
借上げ社宅を借りるとき、不動産業者に仲介手数料を支払うことがあります。
この仲介手数料も有償での賃貸の場合は非課税売上との対応で仕入税額控除できません。
無償での賃貸の場合は共通費として仕入税額控除できます。
(1)課税売上が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の事業者
仕入税額控除は全額控除できますので、非課税売上に対応する消費税でも仕入税額控除できます。
ただし、令和2年10月1日以降に取得する居住用賃貸建物に係る仕入税額控除は、課税売上割合に関わらずできないことになりました。
よって、社宅や従業員寮の取得にかかる消費税は仕入税額控除できません。
この場合、消費税は建物の取得価額に含めることになります。
(2)課税売上が5億円超又は課税売上割合が95%未満の事業者
上記(1)と同様に社宅や従業員寮の取得にかかる消費税は仕入税額控除できません。
その他の項目は、課税売上割合や支出内容に応じて取り扱いが決められています。
以下の記事を参考にしてください。
社宅の収入は非課税です。
消費税の計算上、全額控除の事業者でなく、個別対応方式で計算している事業者で社宅がある場合、費用にかかる消費税には注意が必要です。
主に、有償で賃貸している社宅に関連する費用は仕入税額控除できません。
また特に、注意すべきものとして令和2年10月1日以降に取得する居住用賃貸建物に係る仕入税額控除は、課税売上割合に関わらずできないことになりました。
参考URL:国税庁質疑応答事例 社宅に係る仕入税額控除