2026年10月15日|税務・会計ニュース
2026年(令和8年)の年末調整は、「前年と同じ金額・基準」で計算すると間違えます。
基礎控除、給与所得控除、扶養の所得要件など、給与計算に直結する数字が変わったためです。この記事では、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」をもとに、変更点と中小企業の準備事項を整理します。
この記事でわかること
- 2026年の年末調整で変わった5つのポイント
- パートや学生アルバイトの家族がいる場合の判定の目安
- 中小企業が今のうちに準備すべきこと
まずはここだけ!改正ポイント早見表
| 項目 | 前年まで | 2026年分 | 影響が大きい人 |
|---|---|---|---|
| 基礎控除 | ― | 最大104万円(所得により変動) | 全従業員 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 | パート・アルバイト |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 58万円以下 | 62万円以下(給与収入136万円以下が目安) | 家族がいる従業員 |
| 特定親族特別控除(19〜22歳) | ― | 所得62万円超〜123万円以下 | 大学生年代の子がいる従業員 |
| 一般生命保険料控除 | ― | 23歳未満の扶養親族がいる場合の特例 | 小さな子どもがいる従業員 |
※実際の適用額は、本人や家族の所得・年齢などによって異なります。詳しくは以下で解説します。
そもそも年末調整とは?
毎月の給与・賞与から天引きしている所得税は、あくまで概算です。年末調整では、1年間の給与総額と各種控除をもとに正しい税額を計算し直し、差額を精算します。
- 引きすぎていた場合:従業員に還付
- 不足していた場合:追加で徴収
なお、給与収入が2,000万円を超える人などは年末調整の対象外です。医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)は、原則として確定申告で手続きします。
改正① 基礎控除は最大104万円に
基礎控除は、合計所得金額に応じて最大104万円に引き上げられました。
注意:全員が104万円になるわけではありません。 適用額は本人の合計所得金額で変わり、副業所得や不動産所得も含めて判定します。
会社のチェックポイント:基礎控除申告書の「所得見積額」と「控除額」が対応しているか確認しましょう。
改正② 給与所得控除の最低保障額は74万円に
給与所得控除の最低保障額が65万円→74万円になりました。給与収入が比較的少ないパート・アルバイトに影響する改正です。
計算例:年間給与収入130万円の場合
130万円(給与収入)− 74万円(給与所得控除)= 56万円(給与所得)
この56万円が、税法上の扶養を判定するときの「所得」になります。実際の所得税額は、さらに基礎控除や社会保険料控除などを差し引いて計算します。
改正③ 扶養親族・配偶者の所得要件は62万円以下に
扶養親族や同一生計配偶者の合計所得金額の要件が、原則58万円以下→62万円以下になりました。
給与収入だけなら、年収136万円以下が目安です(136万円 − 74万円 = 62万円)。
| 配偶者の所得 | 対象になり得る控除 |
|---|---|
| 62万円以下 | 配偶者控除 |
| 62万円超〜133万円以下 | 配偶者特別控除 |
ただし、配偶者控除には納税者本人の所得制限など、ほかの要件もあります。
注意:税法上の扶養と社会保険上の扶養は別の制度です。 所得税の控除対象になることと、健康保険の被扶養者になることを混同しないようにしましょう。
改正④ 大学生年代の子には「特定親族特別控除」
19歳以上23歳未満の親族は、アルバイト収入が多く通常の扶養控除から外れても、所得に応じて控除を受けられる場合があります。
- 主な要件:合計所得金額が62万円超、123万円以下
- 会社がすること:該当しそうな従業員に、子どもの年末までの収入見込みを確認してもらう
通常の扶養控除とは要件も控除額も異なるため、申告書の記載を丁寧に確認しましょう。
改正⑤ 生命保険料控除に新たな特例
23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除に特例が設けられました。前年の計算方法をそのまま使わないよう注意しましょう。
控除証明書を回収するときは、扶養親族の状況もあわせて確認します。地震保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金の証明書・支払額も忘れずに確認しましょう。
中小企業の実務チェックリスト
年末調整をスムーズに進めるために、次の6点を確認しましょう。
- 給与計算ソフトを更新する:2026年分の基礎控除・給与所得控除・扶養判定に対応しているか
- 最新の申告書を回収する:扶養控除等申告書、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書など
- 家族の所得見込みを確認する:配偶者や学生の子どもの年末までの給与収入
- 控除証明書を回収する:生命保険料、地震保険料、住宅ローン控除など
- 中途入社者に対応する:前職分の源泉徴収票を回収し、給与を合算する
- 年末調整後の処理を準備する:源泉徴収票の作成、法定調書・給与支払報告書の提出
コツ:扶養親族の所得は年末まで確定しないことがあります。申告書は早めに回収し、必要に応じて年末に再確認する運用が効果的です。
年末調整の電子化も検討を
申告書の配布・回収・確認・入力には多くの時間がかかります。電子化対応のシステムなら、従業員の入力内容を給与計算に連携できる場合があり、転記ミスや紙の管理負担を減らせます。
ただし、電子化しても確認作業はなくなりません。扶養親族の所得要件や控除証明書の内容は、引き続きチェックが必要です。小規模な企業でも、作業量が多いなら検討する価値はあります。
まとめ|今年は「前年どおり」に注意
2026年の年末調整で押さえるべき数字は次の3つです。
- 基礎控除:最大104万円
- 給与所得控除の最低保障額:74万円
- 扶養親族等の所得要件:62万円以下
古い基準のまま計算すると、従業員の税額に誤りが生じるおそれがあります。給与計算ソフトの改正対応、扶養親族の所得見込み、申告書の記載内容の3点を重点的に確認し、早めに準備を始めましょう。
参考資料
※本記事は2026年10月15日時点の公表情報に基づく一般的な解説です。個別の控除適用については、本人や親族の所得状況、年齢、契約内容などに応じて確認が必要です。









