節税に役立つ、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について解説します。
この特例は、一定の中小企業者や個人事業主が、一定の少額の減価償却資産を取得した際に、その取得費用を一度に全額損金として計上できる制度です。
1. 特例の対象者
- 中小企業者等:
- 資本金1億円以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業者
- 資本金1億円超の法人の100%子会社を除く
2. 対象となる資産
- 取得価額が30万円未満の減価償却資産が対象となります。
- 具体的には、パソコンやオフィス家具、機械設備、ソフトウェアなどの耐用年数がある資産が該当します。
- ただし、土地などの減価償却できない資産は対象外です。
3. 損金算入のメリット
- 通常、減価償却資産は耐用年数に基づいて分割して費用計上するのが原則です。
- しかし、この特例では、30万円未満の資産に関しては、取得した年度に全額を経費として損金に算入することが可能です。これにより、当年度の課税所得を抑え、法人税や所得税の節税効果があります。
4. 年間の限度額
- この特例を利用できる取得価額の合計は、1年間で300万円が限度となっています。つまり、300万円までの少額減価償却資産について、購入した年度に全額を損金算入することができます。
5. 適用要件(法人)
- この特例の適用を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。
6.適用要件(個人)
- 個人事業主がこの制度の適用を受けるためには、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要とされています。
- ただし、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を記載して確定申告書に添付して提出し、かつ、当該少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管することにより適用を受けることができます。
- 少額減価償却資産の取得価額の合計額
- 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
- 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨
7. 注意点
- この特例を利用する場合、減価償却の分割計上が不要となるため、翌年度以降の経費として計上できる金額が少なくなる点に注意が必要です。企業の利益予測やキャッシュフローに応じて適切に選択することが重要です。
- また、同一年度に取得する資産の合計額が300万円を超える場合は、その超えた部分については通常の減価償却を行う必要があります。
8. 特例の期間
この特例は、適用期間が定められており、現在の制度がどの年度まで延長されるかは、その時点の法改正に依存します。最新の情報は、税務署や国税庁のウェブサイトを確認することをお勧めします。
まとめ
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、企業の節税対策として有効な制度です。取得年度に全額を経費計上できるため、中小企業者等にとっては大きなメリットとなるでしょう。
(関連URL)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm