急に税務署から電話がかかってきたり、急に税務署員が会社に来たりすることは、脱税の兆候でもない限り、ほとんどありません。
税務調査は、税務署が納税者の申告内容を確認するために行う手続きです。通常、納税者の帳簿や関連書類を確認し、適正な税務申告が行われているかどうかを検証します。
1.税務調査の連絡
一般的な中小企業の税務調査はまず顧問税理士に電話がかかってきます。
これは税務調査をしますということと、日程調整のための連絡です。
日程は約1か月から2か月先で、会社の都合を聞いてくれます。中小企業の場合、だいたい2日から3日間の予定で実施されます。
税務調査には通常顧問税理士が立ち会ってくれます。
ですので、当日は会社の社長、経理担当者、税務職員、顧問税理士(事務所の担当者含む)で進められます。
2.税務調査当日の流れ
税務調査は初日の午前中が最も重要です。
およそ調査の初日の午前中は会社の概況を聞いてきます。
これは、会社のパンフレットなど見ながら、雑談的に、会社がどのような商売の内容、品種、材料から製品になるまでの期間、一般的な工期、契約書の有無、現金売上の有無、従業員の数、通勤手段、社長の趣味、休日の過ごし方、家族構成、会計事務所の関与度合いなど様々な質問があります。
しかし、これらのことから指摘できそうなことの当たりを付けていきます。
質問内容に無駄なものはひとつもないと思ってください。
午後からは総勘定元帳や仕訳帳の記帳をもとに、請求書や契約書、領収書などと照合しながら、正しく処理されているかチェックされます。
もし、2日間の調査であれば、1日目の午後は売上関係中心、2日目は仕入経費関係、計算のチェックが一般的です。
3.最近の税務調査の傾向
最近の税務調査ではホームページは必ず事前にチェックされています。
過去の申告内容を含め、事前に十分調べてきた上で調査に臨んでいるように思います。
また、デジタル化が進み、一般的な会計ソフトでは帳簿のエクセルでの抽出が可能なケースが多いので、データで提出を求められることが多いです。
エクセルの検索機能を使い効率的に調査が進められるようになります。
場合によっては会社の経理担当者のPCを見せてくださいと言われることがあります。
必要がなければ拒否することもできますが、書類をワードやエクセルで作成すると、データを見せる理由になります。データの作成日をチェックして、書類が後付けで作成されていないか検証されることがあります。
4.税務調査で最も重要なこと
税務調査で最も重要なことの1つ目は調査官の会社に対する心象です。
会社に対する心象は社長と経理処理能力の二つです。
調査官は会社が脱税していないかをチェックしに来ています。
脱税を指示したり、実行するのは社長です。
ですので、社長の納税意識が高いかどうかは重要なポイントです。
また、経理処理能力の高さは不正やミスが起こりにくいということです。
税務調査で最も重要なことの2つ目は決して嘘をつかないことです。
調査官も人間です、そのばしのぎででも、最初言っていたことが嘘だったとなれば、だまされたとなり、その他のことも全て信用されなくなり、調査結果が悪い方向に行く可能性があります。
結果、調査範囲が広がったり、日数が延びたりすることもあります。
5.まとめ
税務調査はすべての会社や個人事業主で実施される可能性があります。
しかし、脱税をしていなければ何も怖いことはありません。
税務署も正しく申告しようとしている人に失礼な態度を取ることはありません。
もし、税務調査があるならば、顧問税理士とよく相談して事前準備を整えれば何も心配することはありません。
こういう時こそ、顧問税理士は力になってくれると思います。