取引先に発行する注文書や請書。収入印紙が必要か迷ったことはありませんか。
注文書は原則として印紙税の対象外ですが、請書は課税対象になる場合があります。
ただし、書類の名称だけでは判断できません。
今回は、2026年11月5日時点の制度に基づき、中小企業が確認したい実務ポイントを解説します。
1.注文書に収入印紙は必要?
通常の注文書には、原則として収入印紙は必要ありません。
注文書は、取引先に契約を申し込むための書類だからです。
例えば、次の取引を考えてみましょう。
ある会社が、設備工事を100万円で発注します。
発注先に注文書を送付しました。
この注文書が単なる申込みを示す書類なら、通常は課税対象になりません。
ただし、注文書という名称でも例外があります。
例えば、注文書だけで契約が成立する場合です。
また、双方の署名や押印がある場合も注意が必要です。
国税庁は、書類の名称よりも実質的な内容で判断するとしています。国税庁
2.請書には収入印紙が必要?
請書は、契約成立を証明する書類として課税対象になる場合があります。
例えば、建設会社が工事の注文を受けたとします。
発注者から注文書を受け取り、請書を発行しました。
この請書が請負契約の成立を証明するものであれば、第2号文書に該当する可能性があります。
第2号文書は、契約金額によって印紙税額が変わります。
例えば、請負金額が100万円の場合です。
通常の第2号文書なら、印紙税額は1,000円です。
ただし、契約の内容によって文書の分類は異なります。
請書だから必ず印紙が必要、というわけではありません。
3.注文書と請書の違いを整理
実務では、次のように考えると分かりやすくなります。
| 書類 | 主な役割 | 印紙税の判断 |
|---|---|---|
| 注文書 | 契約の申込み | 原則として対象外 |
| 請書 | 注文に対する承諾 | 課税対象になる場合あり |
| 契約書 | 契約成立などの証明 | 内容によって判断 |
| 見積書 | 価格や条件の提示 | 通常は対象外 |
重要なのは、書類の名称ではありません。
契約の成立を証明する目的があるかどうかです。
例えば、注文書に承諾の記載がある場合は注意しましょう。
また、基本契約に基づく注文書も確認が必要です。
契約条件によっては、注文書自体が契約成立を証明する場合があります。
4.消費税の記載方法で印紙税額が変わる?
請負契約書では、消費税の記載方法も重要です。
例えば、次の契約を考えてみましょう。
工事代金は税込110万円です。
この場合、契約書に「110万円」とだけ記載すると、原則として110万円が記載金額になります。
一方、次のように記載した場合はどうでしょうか。
- 工事代金:100万円
- 消費税等:10万円
- 合計:110万円
課税事業者による課税取引で、消費税額等が明確なら、100万円を記載金額として判定できます。
通常の第2号文書では、次の違いが生じます。
| 記載方法 | 印紙税の判定額 | 印紙税額 |
|---|---|---|
| 税込110万円のみ | 110万円 | 2,000円 |
| 税抜100万円・消費税10万円を区分 | 100万円 | 1,000円 |
この例では、印紙税額に1,000円の差が生じます。
ただし、消費税額等を除外できる文書は限定されています。
対象は、第1号・第2号・第17号文書です。
また、免税事業者には異なる取扱いがあります。国税庁
5.経理担当者が確認したい3つのポイント
注文書や請書を処理するときは、次の3点を確認しましょう。
① 契約成立を証明する書類か
まず、書類の内容を確認します。
単なる申込みなのか、契約成立を示すものなのかを判断します。
② 契約金額はいくらか
次に、契約金額を確認します。
消費税額等が区分記載されているかも重要です。
③ 同じ取引で複数の書類を作成していないか
例えば、契約書と請書を別々に作成する場合です。
それぞれが課税文書に該当するか確認しましょう。
なお、写しや副本でも課税対象になる場合があります。
単なるコピーか、契約成立を証明するために作成した文書かが判断のポイントです。国税庁
6.よくある質問
Q.注文書に押印があれば印紙が必要ですか?
押印があるだけで、必ず課税されるわけではありません。
ただし、双方の署名や押印がある場合は注意が必要です。
契約成立を証明する文書かどうかを確認しましょう。
Q.請書なら必ず印紙税がかかりますか?
いいえ。
請書の内容や契約の種類によって異なります。
まず、印紙税法上の課税文書に該当するか判断します。
まとめ|注文書・請書は名称だけで判断しない
注文書は、原則として印紙税の対象外です。
一方、請書は課税対象になる場合があります。
ただし、判断の基準は書類の名称ではありません。
契約成立を証明する内容かどうかが重要です。
さらに、消費税の記載方法にも注意しましょう。
経理担当者は、注文書や請書の様式を定期的に確認することをおすすめします。
印紙税の判断を社内で統一することが、納付漏れや不要な負担を防ぐ第一歩です。
本記事は、2026年11月5日時点で確認できる成立済みの制度を解説しています。改正案の紹介ではありません。
参考資料・出典
国税庁「No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い」
国税庁公式資料を確認する
国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」
国税庁公式資料を確認する
国税庁「No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」
国税庁公式資料を確認する







