結論は、原則無利息はできません。役員や従業員に社内貸付をしたときは原則は利息を取らなければなりません。
したがって、役員や従業員に無利息で貸し付けをした場合、
本来支払うべき利息は、経済的利益を受けたとして給与として課税されます。
しかし、これは原則で例外的に無利息で貸付できる場合があります。
それでは、まず原則的な税務の考え方を解説し、その後で例外の取り扱いをみていきます。
最後まで見ていただくと、この考え方を上手く使えば、福利厚生目的で使えることが理解できると思います。
法定の貸付利息について
役員または従業員に金銭を貸し付けた場合、利率は次のように決められています。
No.2606 金銭を貸し付けたとき|国税庁
(1) 会社が他から借り入れて貸し付けた場合・・・・・・その借入金の利率
(2) その他の場合・・・・・・貸付けを行った日の属する年に応じた次に掲げる利率
平成21年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・4.5%
平成22年から25年中に貸付けを行ったもの・・・・・・4.3%
平成26年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.9%
平成27年から28年中に貸付けを行ったもの・・・・・・1.8%
平成29年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.7%
平成30年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.6%
令和元年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・1.6%
令和2年はまだ出ていませんが、おそらく1.6%と思われます。
無利息または低金利で貸した場合の取り扱い
役員または従業員に無利息または低い金利で貸し付けした場合、
原則として、上記の金利と実際に支払う金利との差額が給与として課税されます。
(課税の仕方)
1、毎月の利息相当額が毎月の報酬・給与に加算されます。
2、加算後の金額で源泉税が再計算されます。
3、当初の源泉税と再計算された源泉税の差額を対象月毎に計算します。
4、出た差額を税務署へ納付します。
給与として課税しなくてよいケース
下記の(1)から(3)に該当する場合、無金利や低金利であっても給与として課税されません。
(1) 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、
その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
(2) 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、
この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
(3) (1)及び(2)以外の貸付金の場合で、上記1の利率により計算した利息の額と
実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合
まとめ
会社の役員や従業員への無金利や低金利貸付は実行できますが、利息は給与として扱わなければなりません。
しかし、災害や病気などで臨時的に生活資金が必要な場合、会社は無金利で貸し付けをしても利息分が給与課税されることはありません。
従業員が困っているときに会社として貸し付けをする「社内貸付制度」があれば、働き手としては安心ですよね。
また、この度の新型コロナウイルスで生活資金に困っている従業員へ無利息で貸し付けることも可能かと思います。
新型コロナウイルスの難局を会社、役員、従業員が一体となって乗り切るために、税制をうまく使っていただきたいです。