会社で福利厚生施設を持ち、従業員に貸し出した場合の、課税関係はどうなるかと考えている人向けです。
結論
会社が保有する、宿泊施設、保養所、スポーツクラブなどを
役員や従業員が利用するために、会社がそれらの運営費等を負担している場合、
役員や従業員が無料で利用した場合、会社から経済的利益を受けることになりますが、
給与課税はされません。
また、会社は運営費等を福利厚生費として費用(損金)処理できます。
結論の根拠
所得税基本通達36-29
使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。
注意点
福利厚生施設の運営費の負担額は原則、給与課税されませんが、以下の場合は課税されることがあります。
① 経済的利益が著しく多額であるとき
福利厚生施設の利用によって得られる経済的利益が著しく多額であると認めれらる場合は、
経済的利益部分を給与課税されます。
経済的利益とは、会社負担額と利用者の自己負担額との差額をいいます。
② 役員だけを対象にしている場合
会社で福利厚生施設を保有しているとしても、実際に利用しているのは役員だけという場合も、
給与課税されます。
役員の場合は、役員賞与と認定されると、法人税法上も課税扱いになります。
まとめ
特に役員の方は要注意です。
福利厚生厚生施設は役員と従業員がどちらも公平に利用できるものでなければなりません。
利用実績をみて、役員だけしか使っていなければ、施設にかかった経費はすべて役員賞与に
なる可能性があります。
福利厚生費は費用(損金)ですが、役員賞与は費用でも損金ではありません。
法人税法では役員賞与は利益扱いです。
役員賞与は社長個人の所得税と会社の法人税とがダブルで課税されるものです。
福利厚生施設の利用に関しては、この点だけ十分に注意が必要です。