①課税事業者が原則法での課税期間中に高額特定資産の仕入等を行った場合、
この資産の仕入等を行った年度の期首から3年間は免税事業者になれません。
また、同様に期首から3年間は簡易課税を選択できません。
なお、②として、免税期間中に取得した棚卸資産である高額特定資産の調整計算を適用した場合の消費税の扱いもありますが、別記事で解説します。
高額特定資産とは
高額特定資産には以下の2つが含まれます。
① 一つの取引につき、課税仕入れの金額が1,000万円(税抜)以上の棚卸資産
② 調整対象固定資産(※)
(※)調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及び付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具・器具及び備品、鉱業権その他の資産で、ひとつの取引単位の価額(税抜き)が100万円以上のものをいいます。
自己建設した場合の高額特定資産
自己建設高額特定資産とは、他の者との契約に基づき、又はその事業者の棚卸資産もしくは調整対象固定資産として、自ら建築等した高額特定資産をいいます。
自己建設の場合は、課税期間における原材料費や経費に掛かる費用累計が1,000万円(税抜)以上となると高額特定資産になります。
高額特定資産と消費税申告について
高額特定資産を取得したら、消費税の申告がどのように制限されるかまとめます。
(前提)×1年、×2年は課税事業者とします。
(1)非課税にならないケース
年度 | 課税売上 | 消費税の課・非 | 摘要 |
---|---|---|---|
×1年 | 2,000万円 | 課税 | |
×2年 | 800万円 | 課税 | 高額特定資産取得 |
×3年 | 600万円 | 課税 | |
×4年 | 800万円 | 課税 | ※1 |
×5年 | 900万円 | 非課税 | ※1 |
※1 ×2年が800万円で×4年は非課税になるところ、×2年に高額特定資産を取得したので課税になる。×5年は原則通り非課税になる。
(2)簡易課税を採用できないケース
年度 | 課税売上 | 消費税計算方法 | 摘要 |
---|---|---|---|
×1年 | 2,000万円 | 課税・原則 | |
×2年 | 3,000万円 | 課税・原則 | 高額特定資産取得 |
×3年 | 3,500万円 | 課税・原則 | ※2 |
×4年 | 4,000万円 | 課税・原則 | ※2 |
×5年 | 4,500万円 | 課税(原則or簡易) | ※3 |
※2 ×2年に高額特定資産を購入したため、×3年、×4年は簡易課税が採用できない。
※3 ×5年は課税期間の初日の前日までに簡易課税の届出を提出すれば簡易課税を採用できる。
まとめ
課税期間中に高額特定資産を取得した場合は3年間は免税事業者や簡易課税が採用できません。
高額特定資産を取得したためにうっかり失念しないようにしましょう。
参考URL:国税庁タックスアンサー№6502 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例