前回に引き続き高額特定資産の取得と消費税について②ということでお話しします。
今回は、高額特定資産である棚卸資産を取得した場合の消費税の制限についてです。
高額特定資産となる棚卸資産を取得した場合
課税事業者になる前年度の免税期間中に高額特定資産である棚卸資産をを取得して、
課税事業者が高額特例資産である棚卸資産の調整措置を受けた場合には、
1、課税期間の初日から3年間は免税事業者に戻ることはできません。
2、課税期間の初日から3年間は簡易課税の適用もできません。
制度の趣旨
消費税の免税事業者から課税事業者になる時、(前期)免税期間中に取得した棚卸資産は(当期)課税期間中に取得したものとみなされます。(消費税法第36条)
高額特定資産の棚卸資産も例外なく免税期間中の在庫であれば、翌年課税期間中の仕入とみなされ仕入税額控除できます。
ここでその翌年に免税事業者に戻れたとします。
免税事業者に戻った後で、高額特定資産を売却して入金された消費税は納める必要がありません。
これでは、消費税の納税のバランスが崩れます。
そこで、2020年4月1日以後に棚卸資産の調整措置を受けた場合は、3年間の規定が適用されることになりました。
まとめ
高額特定資産である棚卸資産を取得した場合、それが免税期間中で翌年だけ課税事業者になってまた免税事業者に戻ろうとしても、棚卸資産の調整措置を受けた場合は3年間免税事業者に戻れないし、簡易課税も適用できないので注意してください。