青色申告書を提出した事業年度の赤字は繰り越せます。
ただし、そのためには要件があります。
今年の赤字を繰り越して来年以降の利益と相殺できるとできないでは大違いです。
是非お話しておきたいので、進めていきます。
赤字と欠損金について
会社の決算書で利益がマイナスを「赤字」といいます。
法人税では所得がマイナスのことを「欠損金」といいます。
利益≒所得なので赤字≒欠損金となります。
この解説はこちらの記事「法人税ってどうやって計算するの?」を参照してください。
以下、欠損金を使います。
また、欠損金を繰り越して、来年以降の利益から差し引くことを「繰越控除」といいます。
繰越控除できる法人は?
- 欠損金が出た年度に「青色申告書」を提出している。
- その後の各年度に連続して確定申告書(白色可)を提出している。
この2つを満たしていれば、繰越控除できます。
繰越控除される期間
平成30年4月1日以後に開始する事業年度から繰り越せる期間は10年です。
もし、10年経ってもの控除しきれなかったら、切り捨てになってしまいます。
勉強し始めたころは5年でした、それが今では10年に延びました。改正には時代背景がありますね。
繰越控除される欠損金額
中小企業と大会社では繰越控除される金額が変わります。
中小企業は100%控除できますが、大会社は50%しか控除できません。
これも平成24年から段階的に下がっていきました。
大会社といいましたが、規定では中小法人等以外といいます。
中小法人等とは?
- 資本金1億円以下の普通法人(100%子会社法人等を除く)
- 公益法人等
- 協同組合等
- 人格のない法人等
100%子会社法人等とは、資本金5億円以上の会社に株式を100%直接間接保有されている法人をいいます。
損金算入の順序
繰越控除された欠損金が2つ以上の年度において生じているときは、古い年度のものから控除していきます。
まとめ
青色申告をした年度の欠損金を繰り越せる
控除期間は現在10年になっている、10年で控除できなければ切り捨てられる
中小法人とそれ以外では控除額が異なる
今日のひとこと
欠損金の繰越控除規定は会社の事業継続を押してくれている。
会社は継続していくものです。税金は会計年度の1年で区切って計算したものです。黒字の年もあれば赤字の年もあります。長期的な視点でみたら通算する考え方は理にかなっています。
欠損金の繰越控除の規定はよく考えてあります。
不景気を背景に5年から10年へ控除期間を延ばしていったり、
期限を決めることで会社へがんばりを促しているようにも感じます。
今日も最後まで読んでくださりあいがとうございます。