清水会計の清水です。GW中はステイホームですね。早くコロナウイルスが収束に向かうのを願うばかりです。
コロナウイルスの感染が広がり、休業要請など経済活動が一部制限されています。今後、売上が減少し、資金繰りが厳しくなる会社が増えてくると予想されます。資金繰りが厳しくなると毎月の支払いができない可能性が出てきます。
「支払いができなくなるとうちは倒産する」と思いがちですが、でも本当に即そうなってしまうのでしょうか。ちょっと待ってください。支払いには優先順位があります。そのことを理解して資金繰りを立て直すきっかけにしていきましょう。
支払の優先順位
- 支払手形の支払い
- 従業員の給料
- 仕入・外注費の支払い
- 家賃、保険料、水道光熱費などの経費支払
- 税金・社会保険料の納付
- 銀行借入の元金返済
それでは順番に内容を詳しく見ていきましょう。
支払手形の支払い
手形を発行した後、期日に支払ができない場合は不渡りになります。半年間に不渡りを2回出せば、会社は銀行取引停止になります。これは事実上の倒産ですので、会社は必ず最優先で手形を落とさないといけません。
手形取引は会社の財務を考える場合、最もリスクの高い資金調達です。会社は銀行借り入れを増やしてでも手形を廃止するようにするのが安全な経営です。
従業員の給料
いくら資金繰りが苦しくても給料は必ず払わないといけません。給料の遅配や未払いは従業員に不安を招き、経営者に対する信用を失います。この会社大丈夫かなあと思い、退職者が出てきます。
会社の場合、役員報酬をまず下げざるを得ないでしょう。法人税法上は通常の場合、役員報酬を下げても利益扱いになり、税金が掛かります。しかし、コロナウイルスの影響で売上が激減し著しく業績が悪化した場合、役員報酬を下げないといけない積極的な理由があれば、変更が認められるでしょう。
雇用を守ることは経営者の使命であると考えます。もし、休業しても雇用調整助成金を申請する、持続化給付金を充てるなど、利用できる政策をしっかり利用していきましょう。
仕入・外注費の支払い
仕入や外注費の支払いも需要な項目です。支払いが遅れたりすると取引先から信用を失い、取引の縮小や中止、前金での取引に条件変更などが起こることが考えられます。
もし、支払期日に目途が立たない場合は、支払猶予をお願いする他ないでしょう。支払期日を決めることになりので、次は必ず支払う必要があります。手形払いではないので不渡りの心配はないですが、取引先の信用を無くしかねないので十分注意しておくべきです。
家賃等の経費支払
毎月払っている固定費は支払いの猶予が受けられるか取引先に当たってみるべきです。
家賃は大家さんに支払猶予や減額をお願いしましょう。今までの信頼関係によるとは思いますが、言わないと何も始まりません。
国や県、市でも家賃補助の給付金を検討しているところでもあります。姫路市ではGW期間中の休業要請に応じた事業者に家賃助成で10万円給付する制度も打ち出しています。
電気、ガス、水道や電話などの公共料金は支払いを延期したり、水道は基本料金を免除するような政策も出てきています。各会社の対応を確認して、できるだけ支払いを延ばすことを検討しましょう。
保険料は保険会社の特例措置で支払いを延期する取扱いが出ています。例えば、
保険料をお払込み中のご契約で、このたびの新型コロナウイルスによる影響で保険料のお払込が困難な場合、お客様からの申し出により、保険料のお払込みの猶予する期間を2020年9月30日まで延長いたします。
(引用元)大同生命ホームページ 「新型コロナウイルス感染症」の拡大にともなう各種お取り扱い
この例でもお客様からの申し出によりとあるので、言っていかないと猶予になりません。他の保険会社でも対応策が出ていると思われますので確認してみましょう。
税金・社会保険料の納付
税金や社会保険料は支払猶予の制度が出ています。
国税は2月以降の売上が前年同月より20%以上減少し、一時に納付することができない場合に、所轄の税務署に申請すれば1年間特例猶予が受けられます。通常の延納ならば掛かる延滞税や担保の提供も不要です。
固定資産税・都市計画税は中小企業者で売上が昨年同月より3割以上減少した場合、1/2減免、5割以上下落した場合、全額免除、但し対象年度は2021年度つまり来年度分です。今年度2020年度分は国税同様売上が20%以上下落した場合、1年間の延納が認められています。
年金や健康保険の社会保険料は、前年同月比概ね20%以上下落し、一時に納付することが困難な場合に1年間納付を猶予する制度があります。納付の猶予(特例)には申請書を提出する必要があります。必要な手続きを十分確認しておきましょう。
銀行借入の元本返済
資金繰りに大きな影響を与える銀行借入の返済について、返済困難な場合は早めに銀行と相談しましょう。返済条件の変更のお願いをして、元金返済は当面ストップして利息だけは払うようにするなど、資金ショートしないための条件変更交渉をすることになります。当面の返済をストップできえば資金繰りはかなり楽になるのではないでしょうか。
まとめ
ひとつ前の投稿で社員を守るために借入をしましょう、と言いました。今回は支払いの優先順位の話でした。
資金繰りのために支払いを遅らせたり止めたりすることは相手の信用を一時的に失うリスクを伴います、まずは借入をすることを検討しましょう。それでも間に合わないときは支払いの優先順位を考えましょう。
清水会計では資金繰り・キャッシュフローの改善のためにアドバイスをしています。不断の努力でなんとかこの難局を乗り越えましょう。