中小企業が新たに設備投資をする際に、特別償却または税額控除の税制面で大きなメリットが受けられる「中小企業投資促進税制」。
2025年度の税制改正では、制度の適用期限が2027年3月末まで延長されました。
本記事では、制度の概要から対象となる設備、実際の節税メリット、手続き上の注意点まで、税理士の視点でわかりやすく解説します。
目次
1. 中小企業投資促進税制とは?
中小企業投資促進税制は、中小企業者等が一定の設備投資を行った際に、以下いずれかの税制優遇を受けられる制度です。
- 30%の特別償却
- 7%の税額控除(資本金3,000万円以下等のみ)
税制面での支援により、中小企業の生産性向上や設備更新を後押しする目的で導入されています。
2. 適用対象者
この制度を使えるのは、以下の要件に当てはまる事業者です。
区分 | 要件 |
---|---|
法人 | 資本金1億円以下の青色申告法人 |
個人事業主 | 常時使用する従業員が1,000人以下で、青色申告している方 |
税額控除の条件 | 資本金3,000万円以下、または従業員が1,000人以下の個人 |
3. 適用対象の設備
以下の要件を満たす新品の設備が対象となります(一部合算可能)。
設備区分 | 要件 |
---|---|
機械装置 | 1台160万円以上 |
測定・検査工具 | 1台120万円以上または合計120万円以上(1台30万円以上) |
ソフトウェア | 1本70万円以上または合計70万円以上 |
貨物自動車 | 車両総重量3.5t以上 |
内航船舶 | 取得価額の75%が対象 |
※中古設備、リース目的、貸付目的の設備は対象外です。
4. 優遇措置の内容
事業者は、以下のいずれかを選択できます(要件による制限あり)。
優遇の種類 | 内容 |
---|---|
特別償却 | 取得価額の30%を一括償却可能 |
税額控除 | 法人税額等から7%を控除可能(上限あり) |
税額控除の上限:法人税額の20%まで。控除しきれなかった分は翌年に1回繰越可能です。
5. 申告・手続きの流れ
- 設備の取得・事業供用
- 優遇措置の選択(償却 or 控除)
- 確定申告時に「特別償却又は税額控除の明細書」を添付
- 税務署へ提出(税理士との相談推奨)
6. 2025年度の改正ポイント
- 適用期限が2027年3月31日まで延長
- 資本関係判定の緩和(農地所有適格法人等への特例)
- 対象設備の見直し(特定の業種向け設備が要件付きに)
7. よくある質問(FAQ)
Q. 補助金と併用できますか?
A. 基本的には可能ですが、補助金の公募要領で制限がある場合があります。併用の可否は必ず確認を。
Q. 中古の設備は対象になりますか?
A. いいえ、原則として新品の設備のみが対象です。
まとめ|制度の活用で賢く設備投資を!
中小企業投資促進税制は、設備投資にともなう大きな節税効果が期待できる制度です。
制度を最大限活用するためには、取得設備の要件や選択できる措置、申告書類の準備など、事前の計画が重要です。
不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談しながら、正確に適用していきましょう。
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