✔️ 土地建物、株式等以外の譲渡所得はどのように計算しますか?
譲渡所得は土地や建物、株式、ゴルフ会員権、金地金などの資産を売却することによって生じた売却益のことです。
譲渡所得の税金計算は総合課税と分離課税という2種類の方法があります。
今回は、総合課税の譲渡所得の計算方法について解説します。
分離課税については、最後の「まとめ」でリンクを貼っておきます。
まずは譲渡所得の要点から進めていきます。
譲渡所得の要点
譲渡所得は簡単に言えば保有する資産の売却益でした。
ただし、全ての資産ではありません。
除かれるものの例
事業用の商品などの棚卸資産、使用期間が1年未満の減価償却資産や取得価額が10万円未満の減価償却資産及一括焼却資産の必要経費算入の規定を受けた減価償却資産、山林の譲渡など
譲渡所得にならないものは、事業所得や山林所得になります。
譲渡所得(土地、建物、株式等以外)の計算方法
長期譲渡所得と短期譲渡所得
土地、建物、株式等以外の譲渡所得は総合課税の対象となる譲渡所得になります。
売却する資産の取得時から売却までの所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。
長期譲渡所得は所有期間が5年超で、短期譲渡所得は所有期間が5年以内です。
なお、次の4つは所有期間が5年以内でも長期譲渡所得とします。
1、自分で研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権
2、自分で著作した著作権
3、自分で発見した鉱山などの採掘権
4、自分の育成による育成者権
総合課税の譲渡所得の計算
譲渡所得(長期・短期)=譲渡価額ー(取得費+譲渡費用)ー50万円
(補足)
1、取得費は購入代価です。減価償却資産は毎年の減価償却費累計の控除後の金額です。
2、譲渡費用は売却のために要した費用です。
50万円控除について
その年の譲渡所得から50万円控除することができます。
譲渡所得が50万円未満の場合はその金額まで控除できます。
短期譲渡所得と長期譲渡所得が混在する年は、合計して50万円までの控除です。
また差し引く順序は短期譲渡所得からです、50万円から引いて残れば長期譲渡所得から引きます。
✔️ 税金計算するときに注意する点はありますか?
課税対象となる総合譲渡所得
簡単にまとめると以下のようになります。
区分 | 課税対象額 |
---|---|
短期譲渡所得 | その金額の全額 |
長期譲渡所得 | その金額の1/2 |
長期譲渡所得は1/2する点が注意点です。
設例で解説します。
(設例)課税される譲渡所得はどのように計算されますか?
短期譲渡による売却益 30万円
長期譲渡による売却益 100万円
(回答)譲渡所得は以下のようになります。
=(30万円ー30万円)+(100万円ー20万円)×1/2
=40万円
(解説)50万円控除は短期から先に引くので、30万円使います。次に長期から残りの控除額20万円引きます。さらに長期は1/2します。
まとめ
譲渡所得には総合課税と分離課税があります。
分離課税は土地建物や株式等です。以下関連記事です。
今回の記事はこれら以外の総合課税の譲渡所得の計算です。
税金計算は給与や事業所得などと合算されて、累進税率で行います。
総合課税の計算も参考までに貼っておきます。
短期譲渡と長期譲渡の区別(5年基準)、50万円控除の引く順番(短期が先)と課税される譲渡所得は長期は1/2になる点がポイントです。
参考URL:国税庁タックスアンサーNo.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)