今回は事業用宅地の相続税における小規模宅地の特例についてです。
利用区分を3つに分けてそれぞれ被相続人と相続人の関係について解説します。
✔ それでは、事業用宅地の小規模宅地の特例について解説してください。
事業用宅地の小規模宅地の特例の要件
利用区分 | 被相続人 | 相続人 |
---|---|---|
特定事業用宅地① | 相続開始前まで事業継続していた | ・被相続人の事業を申告期限までに引継ぎ、申告期限まで継続、かつ ・当宅地を申告期限まで保有していること |
特定事業用宅地② | 相続開始まで相続人の事業用(貸付事業以外)として宅地を貸していた | 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族 ・相続開始直前から申告期限まで当宅地の上で事業を営んでいる、かつ ・当宅地を申告期限まで保有していること |
特定同族会社事業用宅地 | 相続の直前において、自分の会社へ事業の用(貸付業以外)の宅地を貸していた | ・申告期限において法人の役員かつ ・当宅地を申告期限まで保有していること |
貸付事業用宅地① | 相続の直前まで貸付事業をしていた | ・被相続人の事業を申告期限までに引継ぎ、申告期限まで継続、かつ ・当宅地を申告期限まで保有していること |
貸付事業用宅地② | 相続開始まで相続人の貸付事業用として宅地を貸していた | 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族 ・相続開始直前から申告期限まで当宅地の上で事業を営んでいる、かつ ・当宅地を申告期限まで保有していること |
✔ 注意事項があれば教えてください。
特例を受けるための要件の留意事項
(注1)特定事業用宅地について
相続開始前3年以内の事業の用に供された宅地かつ、宅地の上にある減価償却資産の簿価が宅地の相続税評価額の15%未満の場合は、特例の適用はありません。
ただし、平成31年3月31日以前からの事業の用に供されている宅地は「3年以内規定」はなく、特例の適用を受けることができます。
また、個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予の特例を適用する場合は、この特例は受けられません。
(注2)特定同族会社事業用宅地について
ここでいう自分の会社とは、相続開始直前において、被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済み株式の50%超を保有している場合の法人をいいます。
(注3)貸付事業用宅地について
相続開始前3年以内に貸付事業用とした宅地は特例の適用はありません。
ただし、税法の経過措置により、平成30年3月31日までに貸付事業に要した宅地には「3年以内規定」の適用はありません。
まとめ
平成30年度の税制改正により、貸付事業用の宅地の3年以内規定ができました。
これにより高層マンションを相続直前に買って評価を下げるような手法ができなくなりました。
また、令和元年度改正で、事業用資産についても同じような3年以内規定ができました。
小規模宅地の特例の面積限度と減額割合をまとめた記事はこちらです。
このように、小規模宅地の特例は納税者にとって有利な規定でありますが、
相続税を回避しようと考える人にはさせないように税法改正がなされていきます。
意図してか否かは別として、事業用としての宅地がある場合は相続時のための参考にしてください。
もし、間違いたくない方などは専門家のアドバイスを受けることをおススメします。