✔修繕費と資本的支出の区別に何か明解な基準があればいいのにな~
担当者の声がよく聞こえてきます。
修繕費は費用(損金)になり、一方、資本的支出は固定資産になる。
会社の利益と法人税に少なからず影響があるので、
節税を考えるのであれば、是非とも費用(損金)にしたいところ。
そのお悩みにできるだけ分かり易く応えていきたいと思います。
修繕費と資本的支出の違い
簡単に言うと以下のとおり。
項目 | 内容 |
---|---|
修繕費 | 維持管理や原状回復に要した費用 |
資本的支出 | 使用可能期間の延長又は、価値を増加させるものの費用 |
原状回復で注意したいのは、現在の簿価までの原状回復ということ。
支出した金額のうち、何らかの理由で簿価以上に毀損した機能(価値)を簿価まで戻す部分は修繕費。
簿価以上に価値が上がった部分は資本的支出。
修繕費か資本的支出かの判断基準(原則)
原則的には修繕費ならば修繕費でよい。
言い換えれば、「見積書や請求書に修繕費と記載されているから修繕費だ」とはできない。
工事の内容によって実質的に修繕費か資本的支出かの判断する。
しかし、これが実務を混乱させることになっている。
✔では何か参考になるものはないか?
資本的支出になる工事代の例示
資本的支出になるものの例示があります。
以下の通り。
- 建物の避難階段の取り付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
- 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要したもの部分の金額
- 機械の部品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取り替えの金額のうち、通常の取り替え金額を超える部分
修繕工事は全部が修繕費又は全部が資本的支出とは限らない、
1つの工事で修繕費の部分と資本的支出の部分の両方が含まれていることが多いので、
実務では、見積書で工事内容を分析し、上記のような例示を参考に区別する。
工事代全額を修繕費としてもいいケース
資本的支出の有無を検討した後の話しとして、
以下のようなケースでは工事代の全額を修繕費としても構わない。
- 1つの修理や改良の工事代の金額が20万円未満の場合
- おおむね3年以内の周期で行われる修理や改良などである場合
✔それでも判断がつかない場合はどうする?
修繕費か資本的支出か明らかでない場合の基準
(基準1)
支出した金額が60万円未満のとき又は、
支出した金額がその固定資産の前事業年度末時点での取得価額のおおむね10%相当額以下のとき
は、修繕費として処理することができる。
(基準2)
法人が継続してその「支出した金額の30%」と固定資産の前事業年度末時点での「取得価額の10%相当額」との
いずれか少ない額を修繕費とし、残額を資本的支出としている場合
は、その処理を認める。
まとめ
修繕工事のうち、修繕費(費用)か資本的支出(固定資産)のどちらで処理するか原則実質的に判断して決める。
資本的支出は、その支出が固定資産の価値を高めるか、耐用年数を延長する部分。
判断がつかない場合の基準がありますが、
税額にも影響するので、安易に資産するべきではない。
修繕費と資本的支出の区別について、この考え方を正しく理解しておれば、正しく判断できると思います。
実務担当者として、自信をもって仕事をしましょう。
参考URL:法人税基本通達7-8-1から5